今回は、皆さんが一度は目にしたことがあると思われるポピュラーな雑草です。
特定外来生物ほどではありませんが、こちらも困った外来種なのです。
(キク科アキノキリンソウ属)
種子と地下茎によって繁殖するキク科の多年生植物です。
1897年頃、観賞用とミツバチの密源植物として渡来し、戦後になって急速に分布したとされています。
繁殖力が強いため、河川敷などに侵入するとオギ、ススキ、アズマネザサなどの在来植物を衰退させてしまうこともあります。
セイタカアワダチソウの優占群落はなかなか遷移しにくく、数年間にわたって黄色い花が群生します。
原産地:北アメリカ
世界での分布:ヨーロッパ、アジア
日本における分布:北海道、本州、四国、九州、琉球、小笠原
定着段階:分布拡大期~まん延期
環境省 外来種リスト*1:国外外来種№64、総合対策外来種 重点対策外来種
<セイタカアワダチソウの生活環>
茎は直立で1~2.5mにもなり、秋に黄色の錐状の花を着けます。似た植物にオオアワダチソウがありますが、こちらはやや草丈が低く、花がまばらに着きます。
種子生産量は、1本当り50,000粒以上の例もあり、種子に冠毛があり、風で散布されます。5~10cmの深さの土壌中に根茎が分布し、地下茎でも繁殖します。地上部は冬に一旦枯れますが、地下茎から萌芽しロゼット状で越冬するため、ほぼ通年生育しています。
定期的に刈込が行われ植物発生材(刈草)が系外に搬出されているところでは、群生にはなりづらいようです。また、痩せ地で酸性の強い土壌でも生育しづらいようです。
新入直後のセイタカアワダチソウは抜根で拡大を防ぐことが出来ますが、株化した大型個体を防除することはできません。そんな場合は、キク科植物に高い茎葉兼土壌処理効果を示すスルホニルウレア系除草剤(ヨードスルフロンメチルナトリウム塩10.0%顆粒水和剤など)を処理するのが良いでしょう。
「除草剤使用が難しい」、「草丈さえ低ければ生えていても構わない」等の場合は、植物成長調節剤フルルプリミドールを冬季処理する方法もあります。
セイタカアワダチソウは花粉症の原因と勘違いされていたこともあるそうです。
確かにあれだけ花の印象が強いと条件反射で鼻がむずむずしてきてしまいそうですね。
<参考文献>
環境省ホームページ生態系被害防止外来種リストダウンロードリスト情報
原色雑草診断・防除事典/森田弘彦・浅井元朗編著/農文協
農研機構「セイタカアワダチソウの蔓延を防ぐ」http://www.naro.affrc.go.jp/