今回は、寒冷地で良く見かける綺麗な花を咲かせるキク科の特定外来生物です。
(キク科オオハンゴンソウ属)
種子と地下茎で繁殖する多年生草本。寒冷地に多く、草丈は50cm~3mで鮮やかな黄色い頭花をつけるため、とても目立ちます。ヨーロッパにおいても北米原産の侵略的植物とされています。近縁種にヤエザキハンゴンソウ、アラゲハンゴンソウ、オオミツバハンゴンソウがあり、いずれも黄色い花を着ける外来種です。
原産地:北アメリカ
世界での分布:世界各地
日本における分布:北海道~九州、琉球
定着段階:分布拡大期~まん延期
環境省 外来種リスト*1:国外外来種№32、総合対策外来種 緊急対策外来種
種子の発芽率は25℃付近で最も高く、地域にもよりますが4~5月に発生します。地上部が枯れたり刈られたりしても、残った地下茎から茎を出して再生します。種子と地下茎で生育範囲を拡げていきます。
夏期に開花するとイチゴ型の筒状花と鮮やかな黄色の舌状花を着け、草丈の高さも相まって花が非常に目立つ形で生育します。
開花後に結実し、地表面~地中2cm付近の種子は冬の低温にさらされた後、春になって出芽します。
一方、地中8cm深くまで達した種子は変温にさらされることがなく埋土種子(シードバンク)となり、刈取り等の駆除後に再び発生する原因となっていると考えられます。
オオハンゴンソウは上部の葉は切れ込みが無く、下のほうの葉は羽状に分裂して茎につく葉は互生で3~5深裂します。
特定外来生物全般に言えることですが、物理的な除草作業をする場合、刈り取った個体を処分する際には種子が飛散したり、仮置きした場所に地下茎が残ったりすることが無いよう十分に気を付けなければいけません。作業する方の苦労を考えると、群生になってからの対応は厳しいものがありますね。
埋土種子の存在も考えると、薬剤による防除も研究していく必要があると感じさせられました。
(参考文献)
特集「外来種と植生管理」オオハンゴンソウ種子の発芽特性と埋土種子形成/
近藤哲也・石垣春・鄭亜紀子/日本緑化工学会誌
日本原色雑草図鑑/沼田眞・吉沢長人編集/㈱全国農村教育協会
植調雑草大鑑/浅井元朗著/公益財団法人日本植物調節剤研究協会
「田畑の草種 大反魂草・大返魂草・大判言草(オオハンゴンソウ)」/須藤 健一/植調第51巻第5号
特定外来生物オオハンゴンソウの防除について/矢野 誠一・林 華奈子/寒地土木研究所
河川における外来植物対策の手引き/国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/