コラム

<外来種シリーズ7>緊急対策外来種「ナルトサワギク」

今回は、きれいな花に似合わず毒をもっているキク科の植物です!

ナルトサワギク

(キク科キオン属)

周年にわたって開花結実する一年生または多年生草本。

生活環が短く、やや乾燥した立地を好みます。

アルカロイドの一種を含んでいるため、家畜に対する中毒例などが報告されています。

1976年に徳島県で初めて確認され、埋立地の緑化のために使われた緑化資材に交じって侵入したとされています。

 

株化して叢生するナルトサワギク

株化して叢生するナルトサワギク

原産地:アフリカ(マダガスカル)原産

日本における分布:本州、四国、九州

定着段階:分布拡大期~まん延期

環境省 外来種リスト*1:国外外来種№33、総合対策外来種 緊急対策外来種

枝分かれするナルトサワギク

草丈は30~70cm程度で多数に枝分かれする

直立するナルトサワギク

株になっていない直立するナルトサワギク

 ナルトサワギクの生活環は1.5~4ヵ月で、冬でも花を着けます。

通年、育成するものの、7~8月の枯死率は高く、生育量もやや落ちるようです。

開花は時期を選ばず、30~70cmの草丈の茎に2cm程度の小さな黄色い花をつけます。

種子は、白い冠毛があり、タンポポのように風で運ばれます。

根は浅く抜き取りやすいのですが、地際を這うようにして分枝し、株化することもあります。

ナルトサワギクの生活環

ナルトサワギクを見かけた場合、小さいうちにすぐ抜き取ったほうが良いでしょう。

すでに生育が進んでしまっている場合は、有効な除草剤が開発されていないため、重労働ですが物理的な方法に頼らざるを得ません。

特定外来生物のため、抜き取った植物体を袋に入れて処分する等、周囲に逸出させないようにしなければなりません。

ちなみに素手で植物に触っても中毒にはなりませんが、植物の汁が付かないように、作業する際には長袖長ズボンと軍手をするのが良いようです。手洗いも必須ですね。

ソーラーパネル下にも発生

 

草丈も低く、花も小さめ、だけど毒を持っているってなんだか怖いですね。

忍び寄られているような気分です。

(参考文献)

こんな雑草こんな問題「ナルトサワギク」/黒川 俊二/植調第50巻第8号

植調雑草大鑑/浅井元朗著/公益財団法人日本植物調節剤研究協会

河川における外来植物対策の手引き/国土交通HPhttp://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/

ナルトサワギクの生活史/馬場 玲子・村井 和夫・本多 麻衣/大阪府立環境農林水産総合研究所

ナルトサワギクについて/農研機構/http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/fireweed.html